あとがき

アルベル夢を書くにあたっての裏話やいい訳などを語ってみたいと思います。
本人の自己満足というか、自分のための記録ですので、興味のない方はスルーしてください。


正直に言いますと、スターオーシャン3のゲームを初めてやった時、アルベルに対しては特別な思い入れとかはありませんでした。
オタク女の萌えツボを狙いまくったビジュアルと、いかにもな敵キャラ性格……序盤の登場シーンなんかは特に、すんごいテーマ曲みたいなのが流れてたせいもあって、むしろちょっとひいてたくらいでした。
それが、フェイトたちに負けるイベントとバール山脈での態度から「んん…?」と私の抱く印象も変わってきて、決め手は魔剣・クリムゾンヘイトのイベントでした。

――あ、この人、誰かが傍にいてあげなきゃいけない人だ!!

そんな風に思わず直感してしまいました。


過去に父親を亡くしたつらい記憶や育った環境でどんどん孤独を深めていったアルベル……孤独を埋めるために強さを求めたけれど、結局真の強さを手に入れる為には弱くて孤独な自分を認めなくちゃならない。
じゃあ、どうやってそれを認めるのか……ゲームでは、フェイトたちとの触れ合いや交流によって自分で何とかそこに到達するアルベルですが、それってとっても脆いものだと思いました。
そこまで――自分を否定してまで強さは必要だったのか?
何の為に?
世界の為?

それって、あまりにもアルベルらしくないですよね。
強さが必要な理由――自分の孤独を埋めてくれる存在――

もし、そういう存在がいたら――ということで誕生したのが、ヒロインでした。

最初から恋心を抱いちゃったら面白くないので、当初はシーハーツの隠密だとかグリーテンの技術者だとか、アーリグリフと敵対する立場の設定を考えていたんですが、ゲームシナリオ後半のフェイトたちとアルベルを結び付けられる存在としても役立つように、地球から来たという設定になりました。

アルベルとの年の差を考えて、ある程度知識と教養があり、既にそれなりの立場を持つことが可能な年齢――フェイトと同い年に。

アルベルと過去の境遇や孤独を共有出来るために、「ロストチャイルド」という設定を作りました。クリフとマリアも絡めるために、クォークと連邦の関係や事件を捏造してみましたが、あの辺りが一番難しかったです……。
ちなみに、この時点ではまだ「レアレイズ」という設定はありませんでした。

ヒロインは地球から来た――ということにした時点で、今回は戦えない普通の女の子の設定にしようと決めていました………が!
アルベルに一番近い立場……いうことでヒロインには副官を目指していただくことになり、それには多少の戦闘能力も必要だろうということから、何かと面倒を見てくれる先輩としてオリキャラのラドフが出来ました。
アルベルと違って砕けた性格、ヒロインと違ってそこそこの権力を持っている……イメージとしては、未来の漆黒副団長のつもりで書いてました。ちなみに、カルサア修練場にいるマユとくっつくというどうでもいい設定もありました(笑)
そんなラドフ君に鍛えられて無事に漆黒入りを果たしたヒロイン――副官になる為に、力が無いなら頭脳だ――という単純な理由から、スーパー策士な設定に。(それが表現できていたかは微妙ですが…)
策士だけなら良かったのに、最後で「螺旋の塔」に単身乗り込んでしまった為に、ドーピングしてても経験値はやたら稼いでしまった筈で、相当レベル上がってしまいました……。
初期のアルベルよりは確実に強くなった筈で、つまりそれはアーリグリフ軍においても、アルベルに続いての実力を持ってしまったということに……。頭がキレる策士な上に、強い……下手をするとアルベルよりもアーリグリフにとって無くてはならない存在になってしまったのでした(笑)

エンディングについて。
EDは当初、クロセルが終わった後、アルベルだけが宇宙に行ってヒロインはアーリグリフで漆黒を預かって待っている――ラストにルシファーを倒した後、アルベルだけがあの草原みたいなところじゃなくてヒロインの目の前に帰ってくる――という方向で考えていました。
けれど、アーリグリフ王とエレナの手紙イベント付近で、エレナを使えばもっと話が広がるなぁ…とムクムクと妄想が広がり、ここでようやく「レアレイズ」という設定ができました。
――あ、ゲームをプレイされただけの方はご存じ無いかもしれませんが、エレナ・フライヤ=FD世界のスフィア社の元エターナルスフィア開発者で、事故によって云々~という設定は、オリジナルでは無くオフィシャルです。公式設定資料集のインタビューページにて紹介されていますので、興味のある方は見てみてください。
ともかく、最終決戦はレアレイズとしてヒロインにも参加させることに決めたものの、クロセル~螺旋の塔のことは中々決まらないまま進んでいました。いま思えば、なんて怖いもの知らずな……(笑)
しかし、迷いながら書いてた私を嘲笑うかのごとく、ヒロインが暴走してビウィグに撃たれたアルベルを庇ったことからすんなり同行の流れに……おまけに声まで失くしてくれたので、あれは完全に予定外で自分の首をしめました。(しかも、ソフィアと手話で話すシーンがありますが、最近判明した事実によると、手話って世界共通どころか、国内でも地方によって違うんだそうですね? てっきり世界共通だと思っていたので、無知をさらけ出してしまいましたよ……まあ、SO3の時代には宇宙共通手話が確立しているということで…・汗)
そんなこんなで、一旦はアルベルと一緒に宇宙についていったのに、再び置いてけぼりにされて自分から追いかけていって貰ったのは、幸せを諦めていたヒロインが自分からそれを得る為に動く――という行動が書きたかったから。つまり、それほどアルベル様が好きなんです――って、ドリーム的には外せない要素ですし(笑)
EDの「自分たちが認識している世界こそが本物の世界」――というような解釈についても語ろうかと思っていたのですが、それはドリーム内で拙い言葉を尽くして書き込んだつもりですので、ここでは割愛します。まあ、地獄を見てきてようやく幸せを掴んだのに、それが世界ごと消されちゃうなんて――ヒロインとしては絶対に認められなかった筈ですので。アルベルも、自分のことよりむしろヒロインの為に、世界を認識していた感があります。それだけヒロインのことが……以下略(笑)

番外編は、ロメロが意外に男前だったので成り立ったお話(笑)「俺の女に手を出すな」みたいな台詞を言わせたかった為だけのストーリー展開になりました(笑)
ロメロもレアレイズというのは、若干強引すぎるかと思ったのですが、エターナルスフィアというシミュレーターの世界で、亡霊なんていうめちゃくちゃな存在がバグじゃなくてなんなのか――と(笑)
フェイトはともかく、クリフはいま考えれば出てきた意味無かったんじゃないかってカンジですけど、私のお気に入りなのでv 忙しいオジサン……EDで恋愛してる暇なんて無い――みたいなこと言ってましたので、クリフ夢も一度書いてみたいなぁ~と思わないでもないですが、また長くなりそうなので書きません(笑)

ヒロイン、疾風団長に……!?
――なっちゃいました。漆黒副団長になる筈だったのに、手が滑って気がついたらいつの間にか疾風団長に……!(笑)
新生疾風は本拠地も修練場に移し、ヒロインの指揮の下でアットホームな組織になっていく予定です(笑)

アルベルとヒロインのその後――
最初、結婚なんて全然考えていなかったのですが(というか、あの二人ではまったく想像できなかった)、拍手コメントで「読みたい」というリクエストをいただいて、ご要望にお答えするつもりで、拍手お礼として書いてみました。
ただやっぱり「結婚式」というのは私的に違和感があるので、その内書き直すかもしれません――あの拍手お礼SSは夢落ちってことで(笑)



さて、つらつらと書いてきましたが、これにて言い訳終了です。
最後に、当初三ヶ月くらいで終わる予定の短期集中連載だった筈のこのお話を、一年と三ヶ月もかけながら続けてこれたのは、応援してくださった皆様、そして某友人のおかげです。
最大の感謝を捧げつつ……ここまで読んで下さって、本当にご愛読ありがとうございました!

050530




060901:追記
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連載終了から一年以上の歳月が経ってしまいましたが、ようやく書きたいことなどを全て消化しきって、自分の中で完全なENDマークが付けられたと感じたので、あとがきに追記させていただきます。

ヒロインの過去精算
アルベルは、クリムゾン・ヘイトのイベントやゲーム中に精算できていると思うので、後はヒロインの精算も必要だと思いました。そして、気持ちの整理をするのはもちろん本人じゃないと出来ないけど、優しいアルベルならそれを決して独りではさせないんじゃないかと。
過去の自分を受け入れて、決別するツラさをアルベルは誰よりも知ってるからこそ、ヒロインの支えになれるんだと思います。

アルベルとヒロインの恋人期間
結婚してからもそうですけど、アルベルはいつまで経っても素直にはなれなさそう……万年反抗期、みたいな(笑) そこを今まで幸せを諦めていたヒロインが貪欲なくらいに楽しもうと引っ張ってくれるような関係だといいです。彼女は頭が良いので、きっとアルベルも楽しめるように立ち回ってくれることでしょう。そして結局はアルベルも、甘いと自覚しつつもヒロインのしたいように引っ張り回されるんだろうな…と思ってます。

結婚とプロポーズ
↑で最初にあとがきを書いた時、あの二人の結婚式というのは私的には違和感がある――というようなことを書きましたが、それは今回プロポーズの場面として書いたようなイメージが私の中にあったからでした。あの二人は、神様の前で愛を誓うというよりも、二人きりでお互いに対して想いを刻むといったような……そんな儀式的な婚姻が頭にありました。
でもよくよく考えたら、孤独な二人には、皆に祝福される場というのもすごく必要だということに気付き、<プロポーズ=二人だけの婚儀><結婚式=皆へのお披露目>という風に書いてみたつもりです。
相変わらずヘタレ属性のアルベル様ですが、自分のちっぽけなプライドなんて捨ててヒロインを守ると過去に誓ったので、プロポーズではヒロインの心を守る為に、思い切りプライド捨てて恥ずかしい言動をしてもらいました。書いてる私が勇気要りました(笑)

追記なのに長くなってしまいましたが、だらだらと拍手お礼などで引っ張ってしまったものの、気の済むまで書けて満足です。
アルベルとヒロインは私のドリーム妄想の中で幸せになれたと確信しつつ……ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!
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CLAP