レイヴン「ねね、ちゃんお願い! ちょっとだけ! ちょっとだけでいいからー!」
「だーめ! 前もそう言って前借りしたじゃない!」
レイヴン「今度こそすぐに返すから! このとーり!」
フレン「……どこかで見たことある光景だと思ったら、下町の子供が親にお菓子をねだってたのを思い出すね」
ユーリ「おっさんが飲み屋の前で駄々こねてるだけじゃねーか」
カロル「僕……あんな大人にはなりたくないな……」
レイヴン「労働の後の一杯! この格別さはちゃんなら理解できるでしょ!?」
「うっ……」
レイヴン「おっさん……この楽しみが無かったら、生きてる意味無いよ……ホントこれだけが楽しみなんだから。ちゃんも最近冷たいしさ……どうせおっさんなんて……」
「…………あー!もう! 分かったよ……ちょっとだけだからね」
レイヴン「さっすがちゃん! 話が分かるぅ! ど?ちゃんも一緒する?」
「もう……調子に乗らないの。私はいいから、いってらっしゃい」
レイヴン「ぐすん、つれないんだから。……いってきます!」
カロル「ずるいよ、ー!」
「え?」
カロル「何で僕のおやつは却下したのに、レイヴンがお酒飲みに行くのはいいのさ! 不公平だよ!」
「そっ……そう言われれば確かに……」
パティ「うむ、確かには、おっさんには甘いような気がするのー」
エステル「そうですね……確かに」
「そっ…そんなことないよ! ほら、私もお酒飲むから、何となく晩酌引っ掛けたい気持ちは分かるっていうか、そういう大人の思い込みで……ねぇ、ユーリ!」
ユーリ「なんで俺に振るんだよ……ま、分かんなくはねーけどな。でも、酒は良くても甘いもんには金を出せないなんて不公平だーっつー、カロルの言い分も尤もだ」
リタ「アンタが甘いもん食べたいだけでしょーが」
「……人選を間違えた」
フレン「ユーリの甘いもの好きは異常だからね」
ジュディス「でもおかしいわね」
エステル「どうかしましたか?」
ジュディス「気持ちが分かるなら、どうしてもおじさまと一緒に行かないのかしら?」
ラピード「クゥン?」
「それはそのー……レイヴンって知り合い多いでしょ?」
リタ「確かにそうかもしれないけど、アンタだって今更人見知りするような性格じゃないでしょーが」
「まあ、人見知りはしないけど。……やっぱ嫌じゃない? 見たくないもん見ちゃったりしたらさー」
エステル「レイヴンの知り合いで、が"見たくないもの"と言うと……」
ジュディス「あら……」
リタ「へぇぇ?」
ユーリ「物好きなこって」
カロル「え? 何? 何々? 何なの!?」
パティ「恋……じゃの!」
レイヴン「あら? みんな集まってどったの?」
「レッ……レレレイヴン!!??」
フレン「……どうしたんですか、レイヴンさん。忘れ物でも?」
レイヴン「そうなのよー。この前アタッチメントで見つけた伊達メガネ忘れちゃってさー。これがあるのと無いのとじゃ、女の子のウケが全然違うのよね!! ――んで、こっちは何かあった? 鯉がどうのって聞こえて……」
「インヴェルノー!!!!」
ユーリ「……恋がどうのって?」
「気のせい!誤解!気の迷い!!」